御用納めも終わり、いよいよ年の瀬の感が強くなってきました。土曜日のスーパーは、年越しの買い物客でいっぱいです。とはいえ専門道場の雲水達には、年末といえども厳しい修行の日々の延長なのでしょうね。
　居士禅者である私たちには、どうしても日々のしがらみが付き物。いえ、しがらみの中で修行してこそ居士禅なのだと思います。せめて一炷香の坐禅に気合いを込めて、残り少ない今年を締めくくりましょう。良いお年を。

　参禅会の朝は老師に抹茶を差し上げます。山茶花は茶花として好ましくないと言われていますが、真っ白な蕾があまりに可愛いので、桑の葉と取り合わせてみました。
　点茶の後で役目を終えた花を、禅堂前の木のうろに挿しておいたところ、翌朝きれいに開いていました。なんだか「一粒で二度美味しい」の気分です。

　参禅をする者は、すべからく師家の前で「大展礼法」を行います。これは両膝、両肘、額の五点を地につけ、さらに拝をした両手のひらを裏返して、図のように耳の高さまで上げるものです。これは仏の足を頭の上に頂く意を表しており、仏教における最も丁寧な礼拝の形と言われています。私たちはこの拝を行うことで日常を脱し、師家との一対一の商量の場に向かう決意を新たにするのです。

　ご近所のいたるところにイルミネーション。ここ数年で目立って増えてきたような。禅の世界ではどんな日なのかというと、１６７２年の今日、黄檗宗の渡来僧　独立性易（どくりゅうしょうえき）帰寂…地味ですねぇ。

　福岡禅会が茶席に掛ける軸のうちの一つ。趣向を変えて拓本を探してきました。

言葉さかんなればわざわひ多く

眼鋭くして盲目に似たり

敏き耳豈聾者に及ばんや

不如不語不見不聞

下には猿ならぬ河童がお決まりのポーズを。

これは火野葦平の書画の拓本で、

元の碑は、北九州市若松区の安養寺にあります。

葦平も眠る玉井家の菩提寺です。

　去る１２月１３日（金）～１５日（日）、第２８回の参禅会を実施しました。会場は、久しぶりの鳥飼八幡宮。広い禅堂で心ゆくまで坐り、公案に取り組む三日間です。懇親会では恒例の俳句会も行われ、大いに賑わいました。

　今年の参禅会は今回が最後です。来年は秋に支部設立という一大イベントも控えており、より一層修行に励むことを決意して円了しました。