蔓延

 「蔓」が「延」びると書いて、「はびこる」と読みます。読んで字のごとしです。意味は、よくないものの勢いが盛んになって広まること。私たちの煩悩がまさにそうですね。

 

 白隠禅師晩年の「草取唄」は、こう始まります。

  草を取るなら根をよく取りゃれ

  またと意根を生やしゃるな

  意根なきよに根を切りおけば

  水に花咲く根無し草

 なるほど欲の根を断っておけば、心安らかに悟りの道へ、ということか・・・と早合点していると、結びの言葉に驚かされます。

  唯と心得うかうかするな 

  根無しかづらに絡まるぞ

  捨ててはびこる根の無いかづら

  蔓は越後に根は佐渡に

 「断った」「捨てた」と思うことも、やはり煩悩ということでしょうか?